南米某国での日々　閻魔と鬼達の中で

眩しさにもある程度、慣れてくると
周囲の状況が次第に把握できるように
なった、私達の座っている、長椅子を
中心に半円形のテーブルに15，6名の
幹部と思わしき人々に囲まれていた
各席の正面のテーブル上にライトが当たり
首もとまではぼんやり見えたが、顔は闇の
中で伺い知ることは出来なかった

カチャカチャと各自、ナイフとフォークを
動かしているのがわかったので食事をとり
ながらこちらを見ているようだ
そんな中、こちらへ向けて照らされている
光源から静かに語りかけるような声が
聞こえた、即座にK女史が通訳しだした
名前は飯盒、年は○○歳、この国に来て
2週間、家族は○人、これに間違いはないか　
何かの取り調べのような質問に戸惑い
ながら、家族構成まで調べられた事に
組織の情報網の大きさに恐怖した

間違いはありません

ダムが造られることによって、我々の
資金源が無くなることを意味するが
これについてどう思うか？

ダム完成後の水の使い道まで私達が
どうのこうの言う事は出来ない
今まで通り、コカの樹に水を撒こうが
代替作物に水を使おうがそれは貴方達が
決めればいい事であり、私達はダムを造らない
と帰れない、是非、協力して欲しい

我々は日本政府にダムを造って欲しいと
お願いした訳ではないが？

私も事の詳細までは把握しておらず、会社より
ダムを造るように言われただけで、政治的な
意図は全くないので、誤解のないように
ただ、これだけの規模のダムを援助によって
造ることは、双方の国民にとって有益な事で
あると思う
ダム建設にあたっては当然、そちらの
ファミリー会社へ下請負契約しなければ
ならないと思われる

君等の会社は世界一の建設会社だと聞いている
が末端の君が下請負契約のことを決定する
権限まで持っているとは思えないが？
君の会社がこの国で工事する場合、全ての
下請けは我がファミリーを使うように
そちらのお嬢さんのボスに会社創立の際にも
約束してもらったが、それらの約束が反古に
された場合は凄惨な結果が待っていると常に
心しておくように

つづく